初代「機動戦士ガンダム」の舞台である“一年戦争”をテーマにした戦略級シミュレーションゲーム。タイトルこそ「ジオンの系譜」となっているが、陣営は連邦、ジオンともに選択可能。プレーヤーはジオン軍総帥「ギレン・ザビ」もしくは連邦軍「レビル大将」となり、全軍を指揮下において勝利を目指す。ゲームは2部構成で、第1部は敵本拠地を制圧するか、もしくは100ターンが経過した時点で終了。第1部の結果次第で、第2部の状況が大きく変化。なお、クリア時に一定の条件を満たしていれば、新たなシナリオが出現する。
「ジオンの系譜」最大の魅力は、ガンダムファンの誰もが想像したであろう「あのとき、あれがこうだったら……」といったガンダム史実上のさまざまなIFを、自分の手で模索することができる点に尽きる。
- ガルマが“ぼうや”じゃなかったらなぁ
- マ・クベのケチ。ランバ・ラルにドム1個小隊くらいくれてやれよ
- マチルダさんを死なせはせん、死なせはせんぞおぉ!!
- ビグ・ザムが量産された暁には、連邦軍なぞ……
- 案外、ゾゴックやジュアッグだけで何とかなるんじゃないか?
- アカハナはアッガイにしか乗せない
- ザクレロ万歳
- 「アレ」は、足があったほうがカッコイイ(たぶん少数派)
ストーリー上は死ぬ運命にあるキャラクタの生殺与奪権、フラナガン機関の創設やソーラ・レイといった重要イベントなど、戦略級シミュレーションとして考えられるおおよそのIF展開は折込済み。これにプレーヤーの技量が加われば、モビルスーツを生産せずに通常兵器だけで敵本拠地を制圧することさえ可能。
シミュレーションに不慣れな人をのぞけば、ゲームの難易度は「それなり」といったレベル。クリアだけを目標にするとプレイは味気ないものになってしまうが、プレイ中に生じる余裕は、そもそも「専用機は対応するパイロット以外には与えない」、「フラウ・ボウの階級をどこまであげられるか」、「モビルスーツはザクとその系統しか生産しません」、「水陸両用モビルスーツの主力はアッガイ」といった“こだわりプレイ”に徹するためにこそ必要なもの。難易度に不満がある人は、ユニットの生産数や予算などで自分に足枷(制限)を加えてプレイすればいい。
「ギレンの野望」は、セガサターン版を皮切りに、プレイステーション、ドリームキャストの順に移植された経緯を持つ。ドリームキャスト版は、セガサターン版のシステム面をアレンジしたプレイステーション版が元になっているが、再生されるムービーはドリームキャスト版のほうが圧倒的に綺麗で、CPUの思考時間については比較にならないほど。唯一残念なのは、キャラクタの音声が若干こもり気味になってしまったことだが、毎ターンさくさくと進む快適さは、何ものにも代えがたい。
ガンダムが好きで、シミュレーションゲームを特に苦手としない人であれば、今からでも是非プレイしていただきたい1本だ。
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