編集部がオススメするDCソフトカタログ
【トレーディングカード・ボードゲーム】

カルドセプト セカンド

●大宮ソフト●6,800円●1人
遊ぶたびに新たな楽しさに出会える傑作ボードゲーム

 「カルドセプト セカンド」は、見た目が可愛らしいものだから、ついつい目測を謝ってしまいがちだが、実は底抜けに奥の深いボードゲームである。先月レビューを書いてからふた月ほど経過した現在もせっせと遊び続けているが、まだまだおもしろさ倍増中で、遊ぶたびに新しい楽しさに出会えたり、未知の戦法が見つかったりする。コンシューマ機で、これほど魔的な次元でゲームを完成させた例というのは、空前のような気がする。

 もちろん、この評価はテーブルゲームの中で、という限定付きだし、私の嗜好にぴったりハマったことにもよる。そもそも、他ジャンルのゲームとの比較は「柿と栗はどちらが旨いか」を問うようなものであまり意味がないが、仮にゲームのおもしろさを構成する諸要素を無数に上げて、あらゆるゲームをレーダーチャートに掛けたとすれば、カルドセプトがもっともでこぼこの少ない美しい円を描きそうな気がする。

 ところで、ゲームを遊んでいてつまらないと感じる瞬間は何かというと、それは内容の底が割れたときで、つまり、限界が見えたときだ。具体的には絶対的な攻略法が見つかったときやパターンが読めてしまったとき、こうなるとゲームへの熱が一気に醒める。長時間を通して楽しむタイプのRPGやSLGで、底が割れたりするとはなはだガッカリさせられる。たいていの場合はそこでゲームをプレイするのをやめてしまう。

 カルドセプトは、そういうことがほぼないといっていい。好きなカードばっかりをブック(デッキ)にいい加減に放り込んでも勝てたりするし、全力で勝つつもりのブックで真剣勝負を挑んでもコテンパンに負けたりする。これは「サイコロを振って進んでいく」というボードゲームならではの不確定要素によるところが大きいが、もうひとつは、あらゆる戦法に痛烈な対処法を用意するという、優れたバランス調整にもよる。冒頭でも触れたがとにかくプレイするたびに新しい発見があったり、自分で考えた超弩級無敵戦法があっさり破られたりして、勝っても負けても多くの楽しみが味わえるのである。

 勝負には誰しも勝ちたい。欲を言えば美しく勝ちたいし、完璧な形で勝ちたい。しかし、仮にそれが可能になってしまうと、相手としてはつまらないし、「負けでいいや」という気分になる。こういった不平等を可能な限り是正したのがカルドセプトのシステムであり、これこそゲームのひとつの理想像だと思うのだがどうだろうか。以下、余談になるが、カルドセプトは、ゲームシステムのみならず、グラフィック、サウンドも素晴らしい出来映えである。ストーリーモードのシナリオはやや子供っぽすぎるきらいがあるが、だからつまらないというわけではない。ぜひともすべてのDCユーザーに遊んでもらいたい傑作ボードゲームである。

ネットワークに対応したカードゲームのひとつの理想像といえる作品

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